Bilijohnnys

元ウルトラマン隊員・IT社長のFreelance Life

てるみくらぶ経営陣逮捕は秒読み・被害者へ与えた罪と償い

てるみくらぶ社長「山田千賀子氏」逮捕!!と新聞の一面見出しが流れてくる日が近いかもしれない。粉飾決算を行い逮捕された事例は少なくないからである。特に今回は、被害額はもとより被害者総数が非常に多く、総合的に悪質であると判断できる証拠が揃ってきている。山田氏が行った3月27日に記者会見動画みて、内定取消説明会の音声を聞くと、社長とは思えない弁護士に頼り切りな姿に呆れを通り越して、思考停止である。。

現会長の益永高吉よ、雲隠れせずに表に出てこい!もともと君の創立した会社やん?と言いたいところ。責任の所在は、益永高吉氏(てるみくらぶ取締役)山田千賀子氏(てるみくらぶ代表取締役)>太田由紀子氏(てるみくらぶ監査役)にあるのではと見ている。今回刑事告発される可能性がある罪は、「詐欺破産罪」「有価証券報告書虚偽記載」「風説の流布・偽計等の禁止」「特別背任罪」の4つであり、逮捕される可能性は高まりつつあるだろう

しかしながら、今回の粉飾決算が意図的かつ巧妙に仕組まれた粉飾であれば監査役といえど見つけることは困難なため、該当事実が出ていない以上、監査役の太田氏には触れないでおきたい。今回は、同社の法的責任に焦点を当て、粉飾決算で逮捕された歴代事例と照らし合わせ、経営陣(益永氏と山田氏)の法的処遇がどうなるのかを考察したい

f:id:makmako117:20170331053510p:plain画像:ANN NEWS@news.tv-asahi.co.jp

てるみくらぶ経営陣(山田社長・益永会長)による計画倒産の実態

てるみくらぶが「計画倒産」したと立証できるのであれば「詐欺破産罪」が適用される。同社が「計画倒産」したのではないかと個人的に考える根拠は主に4つある

1. チケットの支払いが滞っていた3月24日(破産申請の3日前)に、不審に思った同社ツアー参加予定者が窓口に赴くと、ドアには「臨時休業」の張り紙が貼られて、事務所には誰もいなかったという。また、破産申請後も同社ツアー旅行客に対しては直接の説明もないまま不利な証拠が出ないように身を潜めているのではないかと疑ってしまう。特に益永会長を筆頭とするてるみくらぶ経営陣

2. まるで倒産する事がわかっていたかのように、2016年末から始まった現金一括支払いキャンペーンを加速させ、破産申請をした2017年3月27日の前日まで現金一括払いを推し進めていた点。クレジットカードで申し込んだ客に対して、認証できないから現金で振り込んで欲しいとまで言っていたという。つまり、最後まで旅行客からお金をむしり取って倒産したかったのではないだろうかと思えてしょうがない

3. 記者会見で山田千賀子氏が何度も語っていたお客様のために。。お客様のために。。という発言である。実は、検察刑事告発をする際に見るべきポイントがここにある。倒産寸前ながらも同社が言うお客様に対して、最後まで会社を存続させるために努力した結果として上記の2や粉飾決算を行っていたという口実があると検察も下手に刑事告発ができなくなるという点である。あのお客様のために。。という言葉が計画的だったような気するらしているのは気のせいだろうか。記者会見で話していたことはすべて保身のためだったのであろう

4. 同社会長である益永高吉氏の姿がどこにも見えない点である。倒産詐欺によくあるパターンは、倒産を前提として初めから不正な会計を行い、財産の隠匿をしつつ、十分な金銭の回収が終わったところで会社を倒産させてしまうというもの。渋谷の高級マンションに引きこもっているという情報やハワイの高級別荘に逃亡中という噂もある益永氏に関して疑問が残る点である

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画像:てるみくらぶ公式HP

ここまで計画的に破産/倒産へと至るには、どのような過程があったのだろうか、1973年(昭和48年)に現会長の益永高吉氏によって設立された同社。1982年以降、山田千賀子氏が代表取締役に就任してから、35年もたった今では多くの被害者を出す旅行会社になってしまったのだ。てるみくらぶが設立から破産申請に至るまでの時系列タイムラインを下記の記事にまとめてみた

てるみくらぶ破産に至る真実と被害にあった際の対応策

また、「計画倒産」や「粉飾決算」を行う企業を事前に社内外から見極めることはできなかったのだろうか。同社の元社員の口コミによると、現金主義に突然走ったり、退職者が大勢いたり、取引銀行との関係が悪化したり、給与支払いが遅れたりと幾つかの予兆があったようで、そちらを下記の記事にまとめてみた

てるみくらぶ破産前に予測できたであろう6つの主な予兆

てるみくらぶ経営陣(山田社長・益永会長)による粉飾決算の実態

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画像:てるみくらぶ公式HP(現在は情報が消され、お詫び文のみ掲載)

てるみくらぶの様に、株式会社が株主(山田氏がスポンサーとして記者会見で紹介していた様な)や銀行など資金的援助を行う元に対して、次のより良い出資や融資を受けるために嘘の信用を得る事を目的として行われるもの。今回は、マスコミによって堂々と粉飾決算と報道されているが、規模によって「不正」「不適切」と呼ばれる場合がある様だ。

同社の粉飾決算の実態は、2014年(平成26)9月期から旅行券の仕入れや営業費用を少なく見積もって計上して利益率を意図的に釣り上げる事で、赤字であるにも関わらず決算書では黒字だと装っていた事である。例えば、以下の様な粉飾決算が同社によって行われていた。筆者は日商簿記2級なら資格として保有しているため、参考としててるみくらぶ粉飾決算の実態を記述してみたので参照してほしい

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画像に出ている「売上原価」は、公式な決算上、以下の様な計算方法となる。
「売上原価」 = 期首棚卸高(前期の在庫・繰越商品)+ 当期仕入れ高(当期に仕入れた在庫)- 期首棚卸高(当期に余った在庫)今回作成した画像の計算式では、期末棚卸高として残っているいないはずの航空チケット(てるみくらぶ例)を在庫として粉飾したらこの様になるという例として記述した。こちらを見て何がなんだかわからなくなってきた人は簡単に理解できるので安心してほしい。

結局の所、会社決算とは「売上 - 売上原価 = 利益」という単純なものなため、粉飾決算を行うには、正確には180億円売上を195億円に過大計上したり、正確には85億円の売上原価を70億を過小計上するかしかない。ここでおさらいをしたい、てるみくらぶの破産手続開始申立書によると、航空会社や宿泊施設にかかったとされる費用(広告費や航空チケット、宿泊代と考えられる)や人件費を過小計上して記載していたという点。この費用や人件費は、売上原価に当たる。

同社の粉飾決算のせいで、破産申請時に2500人が渡航中、90,000人の被害があったというから被害は計り知れない。人によっては、家族旅行の料金約200万円を振り込んでいたという。てるみ被害にあった人たちの声を下記の記事にまとめてみた

てるみくらぶ粉飾決算ダメ!絶対!各被害者の声まとめ

てるみくらぶに類似した粉飾決算で話題になった企業まとめ

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画像:てるみくらぶ記者会見@sakamobi.com

日本でも粉飾決算によって逮捕された事例は多数ある、誰しも記憶の新しい所でいうと53億円の粉飾決算でホリエモンを筆頭とする経営陣が逮捕されたライブドア社の件である。てるみくらぶが2016年9月に行ったと言われる粉飾決算は、約16億2千万円(本来15億円以上の営業赤字を1億2千万円の営業黒字と記載)とライブドア社には至らないが、逮捕されるかどうかは金額だけによらないだろう

2015年に粉飾決算が発覚した東芝を例にとると、2009年3月期以降の決算から足掛け6年で1562億円もの粉飾決算を出したにもかかわらず、一人の逮捕者もなし、上場も維持されたままでたった1億860万円の違約金で事実上騒動が「集結」している事例もあるからである。しかし、「大企業だから刑事事件にならない」という感覚はオリンパスやカネボウ、西武鉄道の刑事告発事例から見ても間違っているようだ

ここで気になるのは、どういった場合に粉飾決算を行った当本人達(経営陣・税理士・監査役等が対象)が有罪となり逮捕されるのかどうかという点だ。過去の事例を元にどの企業が粉飾決算によって、何の理由で経営陣が逮捕されたのか考察していきたい

 

ライブドア堀江社長同様にてるみくらぶの山田千賀子氏らは逮捕されるのか

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画像:ライブドア堀江社長ら逮捕@userdisk.webry.biglobe.ne.jp

・堀江貴文の容疑①風説の流布・偽計等の禁止

ライブドアマーケティング(当時バリュークリックジャパン)は、平成16年第3四半期決算発表時に、3200万円の経営損失、2100万円の当期純損失であったにもかかわらず、架空売上を計上し、完全黒字化へと転換しているという虚偽事実を公表した事が容疑としてかかった。

→てるみくらぶの山田千賀子氏を含む経営陣が行った虚偽事実の公表に関しては、当てはまるだろう。2014年(平成26年)9月から2016年(平成28年)9月、そして破産申請に至る2017年(平成29年)3月27日まで虚偽事実を出していた点に関して当てはまりそうだ

・堀江貴文の容疑②有価証券報告書虚偽記載容疑

ライブドア社は、2004年9月期の連結決算において、3億1300万円の経常赤字であったにもかかわらず、業務の発注を装い、架空の売り上げを経常。ライブドアが出資する投資事業組合が、ライブドア株式を売却する事で得た利益をライブドア本体の投資利益として売り上げに計上53億4700万円の利益を計上した事で50億3400万円の計上黒字とした

→有価証券報告書とは、金融商品取引法に基づいて上場企業が事業年度ごとに作成する会社内容の開示資料である。そのため、非上場のてるみくらぶには直接の適用はされない。しかしながら、銀行から融資を受けるための決算書、観光庁から旅行業の更新登録を認可してもらうための決算書等を自社の都合の良いように改ざんして作成していた事で罪を問われる可能性がある 

堀江社長は、ライブドアの一件で、最高刑5年だった中で2年6ヶ月実刑を受けている。今回の一件では、刑事告発する資料がまだ十分ではないものの、計画倒産と粉飾決算の両方面で訴えられるとすれば、最低でも10年の懲役もしくは、1000万円以下の罰金刑に処される可能性は高い

福山通運元役員のようにてるみくらぶ益永高吉会長らは起訴されるのか

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画像:福山通運公式HP

2017年2月8日には、「福山通運」の子会社に計1億円の損害を与えたとして、福山通運元執行役員、吉沢信一容疑者(58)が会社法違反(特別背任)の罪で東京地検によって起訴されている。起訴状によると、福山通運の子会社である「ジェイロジスティクス」の常務取締役を務めていた吉沢被告は平成24-25年2月の間、12回にもわたって同社の委託業者からあらかじめ現金を受け取った上で、外注費を水増し請求させて、計約1億円の損害をジェイ社に与えたとされる事件である

特別背任罪がてるみくらぶ経営陣に適用されるかどうかは、売上原価や販売管理費を過小計上していた事で関連会社に対して、財産上の損害を与えたかどうかが焦点となる。立件が難しい理由としては、連鎖倒産したグループ会社(子会社)の「(株)てるみくらぶホールディングス」「(株)自由自在」では、両名(山田社長、益永会長)ともに代表取締役、取締役を務めていた点にある。つまり、関連会社に対して被害を与えたのも自分達で、被害に合うのも当本人達であるということだ。。

今後の捜査次第だが、てるみくらぶ旅行の広告仲介を手がけていた「(株)デナリ・エージェンシー」がグループ外で連鎖倒産している。てるみくらぶへ請求するはずだった平成27年9月期の未払費用983万円の債権をはじめとして多額の焦付が発生した事で倒産しているのは事実だ。一方で、弁護士によると特別背任罪「自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を与える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたとき」(会社法960条)は抽象的な内容なため、立件が難しい犯罪だという。今後の情報を待ちたいところだ、ちなみにてるみくらぶ経営陣が特別背任罪に問われるかもしれないという事は、消費者問題に詳しい紀藤正樹弁護士もオンラインメディア「zakzak」のインタビューで語っている

www.zakzak.co.jp

以上、てるみくらぶ経営陣が引き起こした2つの罪によって、刑事告発されて逮捕されるのかどうかについて触れてみた。今回、同社の被害にあわれた方のためにも検察には公平かつ適切に処置を進めて欲しいと願っている。また、今後てるみくらぶのような旅行会社被害にあわないためには、どうすればいいのか。旅行会社をリスク分散させる必要があるという記事を下記の記事にまとめてみた

第2のてるみくらぶ被害を避けて海外旅行を楽しむ5つの方法


bilijohnnys.hatenablog.com