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元ウルトラマン隊員・IT社長のFreelance Life

てるみくらぶ破産に至る真実と被害にあった際の対応策

てるみくらぶ破産申請と聞いてドキッとした人、イラッとした人、心配になった人は多いでしょう。自分もてるみくらぶのチケットを購入していたらと考えると、その怒りと落胆は想像を絶するはず。破産に対する企業の法律は、中小企業倒産防止共済法 第2条 第2項で定められ、企業が救済されるように定義されている。

今回は、てるみくらぶの様な破綻(被害を受けたユーザーにとっては詐欺と言っても良い)に至る時系列情報と被害を受けた際の対処法をご紹介、被害にあった方々は怒り心頭でしょう。。

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画像:株式会社てるみくらぶ公式HP(現在は情報が消され、お詫び文章のみ掲載)

 

てるみくらぶ破産の基礎概要

2017年3月27日、旅行会社「てるみくらぶ」が東京地裁に破産申請を行い、認められた。負債総額は151億円、前日である3月26日の時点でてるみくらぶから旅行チケットを購入して旅行中の客は約2500人、滞在国は38ヶ国に及ぶというから末恐ろしい。非常に悪どいポイントとしては、破産申請をする前日の26日でも新規顧客に現金一括支払を求めていたこと。。芸能人の矢部美穂氏、ぶっちゃー氏もてるみくらぶ被害にあっており、杉浦太陽氏のジム友達も被害にあっていたという。各方面の被害者状況に関して、下記の記事にまとめてみた

てるみくらぶ粉飾決算ダメ!絶対!各被害者の声まとめ

てるみくらぶのツアーへ今回は申し込んでいなかった人も団体ツアーへいつも申し込んでいる人であれば特に他人事ではいられないでしょう。団体ツアーを申し込むという事は航空券からホテル、レストラン予約までパッケージで全て旅行会社におまかせ!という状態になってしまうため、今回の海外渡航中の方々と同じ被害にあうリスクは高くなる。そこで海外旅行へ行く際にリスク分散させる方法を下記の記事にまとめてみた

てるみくらぶ破産被害を避けて海外旅行を手配する5つの方法

 

てるみくらぶという企業が破産に至るまでの時系列タイムライン

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画像:てるみくらぶ公式HP

1973年(昭和48年):てるみくらぶの前身であるアイ・トランスポート株式会社が創立者である益永高吉氏によって設立、さわやかツアーと称したブランド名で旅行代理店への卸売を開始

1970年代:現社長である山田千賀子氏が神奈川大学卒業後、アイ・トランスポート株式会社へ新卒として入社

1982年:Wikipediaによるとアイ・トランスポート株式会社の代表取締役社長に山田千賀子氏が就任とある(ネット上では1998年に代表取締役社長になったのではという説のほうが多いがテレビとくダネ!では66歳と紹介)

1998年:アイ・トランスポート株式会社からてるみくらぶ事業部(インターネット事業部)を株式会社てるみくらぶとして分社化

1999年(平成11年):東京都知事登録旅行業第3-4566号を取得、支払問題先となっている日本旅行業協会(JATA)へ入会

2001年(平成13年)5月:www.tellmeclub.comにて、インターネットオンライン販売を開始、それと同時にシステム開発、運営・管理などの業務も手がけるようになる。パッケージの特徴は、ハワイ旅行に特化したオンライン商材(売りはハワイ旅行を24時間対応のオンライン予約できる点)

2004年(平成16年)11月:資本金を6000万円に増額(アイ・トランスポート株式会社100%出資による)

2005年(平成17年)1月:国土交通大臣登録旅行業第1726号取得

2005年(平成17年)2月:親会社(アイ・トランスポート株式会社)に残っていた「てるみくらぶ事業部(インターネット事業部)」を譲り受け、インターネットに特化した一都市滞在型海外パッケージツアー(ハワイが中心)のオンライン予約を軸に事業展開。同時に、IATA(国際航空運送協会)の公認代理店として業務開始

2005年(平成17年)12月12日:株式会社自由自在を設立

2011年(平成23年)9月:年間売上高は約134億2400万円に達する

2014年(平成26年)9月:この頃から粉飾決算(営業損益が大幅な赤字に陥っていたが、売上原価や販管費を過少計上して決算上は黒字に見せていた)を繰り返し始める

2015年(平成27年)3月31日:株式会社さわやかプラスを株式会社てるみくらぶへ事業統合(代表は山内昭人氏という人物)

2015年(平成27年)春:2017年3月27日の記者会見によると、この頃から新聞広告に広告費をかけすぎて、経営状態が悪化し始めたという

2016年(平成28年)9月:年間売上高は約195億円(おそらく過去最高値)に達すると同時に、15億円以上の赤字、債務超過額約75億円を抱える。現預金14億円

2017年(平成29年)3月22日:山田千賀子氏によるとIATA(国際航空印相協会)へお客のチケット代金を支払えないという事実を初めて認識。この時点で現預金2億円

2017年3月23日:IATA(国際航空運送協会)へのチケット代金支払い日に、支払い総額である約4億円を用意できずに破産申請に至った。この時点での債務超過額は126億円。

同日、引き続きメールマガジン配信や新聞広告掲載を継続していた

2017年3月24日:一部のツアー参加者から「航空券の発券ができない」という苦情約50件が旅行業協会に届いていた

2017年3月25日:てるみくらぶの公式ホームページで”臨時休業とさせていただきます”と表示

2017年3月26日:観光庁が旅行業法に基づく立ち入り検査を実施、同日時点で同社ツアーを利用している海外渡航中の旅行者は約2500人

2017年3月27日:山田千賀子氏が代表を務める株式会社てるみくらぶ(同日の資本金は6000万円、従業員数130名)が東京地裁へ自己破産(平成29年(フ)第2020号)を申請(申請当時の監査役は太田由紀子氏)、同日には破産手続開始決定を受け、山田氏は記者会見を開いた。

同日、来月1日に入社予定だった約50人の内定者を本社近くに集めて説明会を開き、全員の内定取り消しを勧告した。関連会社で海外旅行ツアーを販売する「自由自在」が営業を停止

2017年3月29日:厚生労働省が同社の内定取消者(約50名)の相談に対応する為の特別相談窓口を東京及び大阪の新卒応援ハローワークに設置。

また、弁護士法人・アディーレ法律事務所、警備会社・JSS、財団法人・宿泊施設活性化機構(通称:JALF(ジャルフ))、旅行券予約・アドベンチャーが内定を取り消された新卒社員に対して選考なしの採用の申し出

同社の海外ツアー向け旅行保険を取り扱っている米チャブ・グループのチャブ損害保険(東京都)は、旅行にいけない、いかないツアー客を対象に支払われた保険料を返金する手続きをし始めた

2017年3月30日:関連会社で格安旅行業者・「自由自在」(債権者約650名、負債額約34億円)とグループの持ち株会社・「てるみくらぶホールディングス」(債権者約60名、負債額約29億円)が東京地裁に破産申請、同日に破産開始決定を受けた。グループ3社の負債合計が約214億円へ到達

日本旅行業協会は、てるみくらぶから内定を取り消された学生を対象に、旅行会社との就職面談会を開くことを決定した

株式会社デナリ・エージェンシー(てるみくらぶの外部連鎖倒産第1号の広告代理店)の石田昭二社長が事業を停止、破産を申請した

旅行代金の弁済を日本旅行業協会に求める申請が2万7000件超に達した

2017年3月31日:一般社団法人・日本クレジット協会(同)は、クレジットカードで同社に支払い手続きをした人に対し、「支払い停止ができるかどうかをカード会社に問い合わせて欲しい」と呼びかけている

2017年4月3日:国交省によると、同日時点でのてるみクラブツアーで海外渡航中の旅行者は約1100人

2017年4月5日:第二のてるみくらぶ破綻と言われる脱毛サロン「エタラビ」が破産申請をした、全国に約100店舗を展開、会員数は約9万人(十数万から数十万に及ぶ料金を月ごとに分割して支払っているため損金は計り知れない)

2017年4月6日:国交省によると、同日時点でのてるみクラブツアーで海外渡航中の旅行者は約400人

2017年4月8日:日本旅行業協会は、てるみクラブ内定者を集めた合同企業面接会(日本旅行やJTBのグループ会社等40社)を開き、35人が参加した

お笑いコンビ「キングコング」西野亮廣が下記の書き込みをFacebookへ行い物議を呼んだ

《『てるみくらぶ』の被害に遭われた方、面白いことをしたいので、もし良ければ、キチンと被害が証明できる形で御一報(DM)ください。》

2017年4月11日:石井啓一国土交通相は、閣議後の記者会見でてるみくらぶに触れ、4月11日以降の出発分で発見された航空券を約1100人がすでに申し込みを済ませている状態であると発表

2017年(平成29年)11月:第一回債権者集会を開催予定

情報参照元;自由自在, Maybackmachine, 帝国データバンク, 東京ウェッサイ, 日本経済新聞, さわやかプラス, 日テレNEWS24, JCASTニュース, 毎日新聞, 東京商工リサーチ, 東京商工リサーチ, SankeiBiz, NHK NEWS WEB, Yahooニュース, Yahooニュース

働いている社員や取引先、そして我々消費者は、てるみくらぶが負債151億円も抱え、破産申請に至るまでまで何故見抜けなかったのだろうか、破産前にあったであろう予兆に関しては下記の記事にまとめてみた

てるみくらぶ破産前に予測できたであろう6つの主な予兆

 

てるみくらぶの様な倒産・破綻被害にあった時に行うべき手段

日本旅行業協会へ弁済を申請する

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画像:日本旅行業協会(JATA)の公式HP

日本旅行業協会(JATA)の弁済業務委員会事務局(03-3592-1252)が持つお客様専用ダイアル(03-3499-7555)へ電話し、弁済申請を行う。出来るだけ早めに電話、またはオンライン申請をこちらから申請

株式会社てるみくらぶの債権者総数は36,266人、負債総額は151億円(旅行業界では歴代4位、リーマンショック後としては1位の負債額)にもかかわらず、弁済限度額は計1億2千万円のみ。。つまりJATAからの弁済額は合計で1%にも満たない

※今回適用されるJATAによる「弁済業務保証金制度」とは、加盟者(今回はてるみくらぶ)に対して、加盟者がJATAに納付している弁済業務保証金分担金2,400万円の5倍に相当する1億2,000万円を限度として弁済する制度。この分担金、もっとてるみくらぶ負担していれば弁済金はもっと多かったのではと思われる。。

※海外渡航中で電話ができない人へ、こちらのJATA認証申出書類送付依頼へアクセスして、オンライン送信されるのがお勧め

※弁済の手続が終了するまでは、記者会見での弁護士によると最低で60日間、JATAと協議して約8-9ヶ月かかるとの事、何故そんなに長いのか

 

てるみくらぶから各被害者への破産債権分配を待つ

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画像:パワーポイントで作成したてるみくらぶの債権/債務事情

平成29年3月27日付で同社HPに出されたお知らせによると、今回被害にあった方々へ破産債権から一部代金の返還が行われる可能性を含んでいる。こちらのお知らせにある②破産手続における取り扱い(Q 旅行ツアーをキャンセルし、旅行代金の返金を待っていたところ、てるみくらぶが破産した。返金を受けられないのか。)の欄を参照願いたい

今回の記者会見では、同社が保有する財産の詳細に関しては特別触れられず、追って公開するとのこと。お知らせにある②破産手続における取り扱いによると財団債権優先的破産債権を控除した残額が一般債権として、今回被害にあわれた方(同社の定義によるお客様、金融機関、お取引先にあたる)へ配当されるとある。優先度③と書いてあるものが一般債権と同社が呼んでいるもの。下記の債権リストを見ればわかるのが、結局消費者は一番後回しなのが現実問題、法律で守られている順序ともいうべきか。。

てるみくらぶによって優先的に支払われる債権リスト

1. 財団債権(債権者の共同の利益のために必要な裁判費用や従業員給与等)

2. 優先的破産債権(マンションの管理費滞納分、法人税等の国税、地方税等)

3. 一般の破産債権(てるみくらぶのチケット購入者、取引先の負担分等)

 

てるみくらぶを通じて旅行保険を購入していた人への対策

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画像:Chubb損害保険株式会社

てるみくらぶを通じて旅行保険を販売していた「Chubb損害保険(チャブ保険)」は、今回の破産で旅行へいけなかった人たちへ保険料を返還すると発表しているため、該当される方はお早めに!
問い合わせはこちら:チャブ保険旅行保険本部(03-6364-7060)

※また、日本クレジット協会によると、てるみくらぶ経由でクレジットカード払いをした人に対して「支払い停止ができるかどうかをカード会社に問い合わせて欲しい」と呼びかけられている

 

てるみくらぶ破産の背後に見え隠れする真実・個人的見解

 

動画:thepagejp @Youtube

てるみくらぶ破産事件で一番に注目され非難されるべきなのは、山田千賀子氏なのはもちろん理解できる。一方で、27日の記者会見を聞いて幾つかの疑問が残る。記者会見での周辺の弁護士がとってる態度は理解できない。。

1. 山田千賀子氏は本当に代表取締役として全権を任されていたのか?

→約1時間の記者会見を振り返ってみてほしい、山田氏のちぐはぐな言動、言葉もおぼつかないほどの精神状態、破産するなんて考えたこともない、直近の利益率が分からない、赤字時期に関しては。。いやいつから赤字が出てきたのか把握できていない。。色んな所からいろいろな情報が出てきている???なんていう意見を聞かされると本当に社長?と思った人も多いでしょう。

むしろ黒幕でもいるのでは?と思われるのも納得出来る。個人的には、破産申請時点でも会長の席についていた益永高吉氏の名前が出てこないのが気になるところ。一説では、ハワイに別荘があり、そちらに雲隠れしてるなんていう噂も。。どこにおるんや益永氏。。70代後半とはいえど山田氏を31歳で抜擢したのも益永氏、その後も会長の椅子に座り続けたという事は、今回の粉飾決算にも関与していたに違いない

2. 経営悪化は、2015年春に新聞広告へ媒体費用をかけすぎたのが理由?

→2011年9月の年間売上が約134億円→2016年9月の年間売上が約195億円約60億円もの売上を5年間で伸ばしてきたにも関わらず、2015年春の広告費が経営悪化に直接繋がったというのは少し考えにくい

2015年春に新聞への広告費を突っ込み、集客が出来た事で2016年の年間売上の増加に繋がった一方で、広告の費用対効果を計算できなかった経営陣が赤字を垂れ流しながら経営をしていたというのが事実かもしれない。つまり、言い方を変えれば、赤字を垂れ流し始めたのは2015年春、そしてそれを誘発したのが無謀な新聞掲載という事だったのかもしれない。観光庁によるデータを見ると、2008年のリーマンショック以降に出国日本人数が減った時から海外旅行を売りにしている旅行会社は経営的に厳しい会社が出てきていたと推測も出来る。

これだけの被害を出しておきながらてるみくらぶの経営陣(山田社長・益永社長)は逮捕されないのだろうかと思った人も多いかもしれない。彼らに適用される罪は、現状のところ「計画倒産」「粉飾決算」の二つである。てるみくらぶ経営者が引き起こしたこれらの罪をもう少し突き詰め、類似事例で逮捕された者を例に挙げながら下記の記事にまとめてみた

てるみくらぶ経営陣逮捕は秒読み・被害者へ与えた罪と償い

てるみくらぶの経営者陣の経歴

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画像:てるみくらぶ公式HP(現在は情報が消され、お知らせのみ表示)

山田千賀子氏
株式会社てるみくらぶ・代表取締役社長、株式会社自由自在・代表取締役社長、
年齢:66歳(代表取締役になった年齢が31歳)
出身地:島根県
出身学校:高卒という情報が信憑性高め(新卒での入社時期を考えても短大卒か高卒と推察される)
推定役員報酬や年収:決算報告書によると3300万円
趣味:ユーミン(63)の大ファンで、13年1月3日には40周年コンサートへの協賛も実施、赤字を出しても7年間にわたってざっと3億円ほど出費していたと言う
名言:元々あったてるみくらぶの公式HPより下記に引用

旅行業の価値とは旅行とは時間が価値を生むもの

 

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画像:東京ウェッサイ

益永高吉氏
アイ・トランスポート株式会社、株式会社てるみくらぶ取締役会長
推定年齢:77歳(1940年福岡県生まれから推察)
起業前経歴:1963年に日本航空株式会社(JAL)へ新卒入社、1973年に同社を退社後にアイ・トランスポート株式会社を設立
近況:ハワイの別荘で優雅な逃亡生活をしているのでは!?という噂があるものの、渋谷区の高級マンションに住んでいるという情報もあり。
名言:こちらのサイトから下記に引用(2009年1月のグアム研修でお招きした益永高吉氏とあることから、本人かと思われる)

「本学とは、思考の優先事項を見えないもの(真理・真実)を美しいものと捉え、大切にすることである。未学とは、平凡な人々が追求して逃れることの出来ない目の前の価値観やテクニック、情報のことである」

過去の経営者(確定事実なし、関与の噂がある人物)

山内昭人氏

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画像:山内昭人@Facebook.com

株式会社さわやかプラス・元代表取締役、モバイルてるみくらぶ・元代表取締役(サイト削除前情報で確認済み)、てるみくらぶホールディングス・元取締役副社長(筆者が確認できたのはサイト削除前情報の平成22年12月1日まで)、株式会社自由自在・元取締役(何故か商業登記簿情報の役員リストでは山内明人と表示)

近況:ネット上の情報によるとすでに退社されているという、山内昭人と名付けられたFacebook(上記画像のようにてるみくらぶホールディングス取締役とある)が削除されているのが気になった、おそらく今回の一件を受けて削除されたのであろう
メディア出演:2013年に放送された「ぶっ」すまに出演(2大観光地が威信を賭けて激突!史上初!島のほこxたて対決!)
状況分析:情報が少ないため個人的考察にすぎないが、上記で引用した株式会社自由自在の商業登記簿情報の役員一覧には、山内明人(昭人と間違えた?w、本物の資料?w)平成22年5月31日重任(任期満了になった取締役が退任と同時に再選する事)、平成27年12月20日辞任とある。一方で粉飾決算が開始されたのは平成26年9月、商業登記簿情報が正確であれば一連の騒動に少しは関与していたものの頭のキレがよく早々と辞任していた可能性はありそうだ