Bilijohnnys

元ウルトラマン隊員・IT社長のFreelance Life

Xデーに突き進む北朝鮮・脱北者が語る国内の真実と悲劇

4月13日、北朝鮮当局は、平壌に集めた約200人の外国人ジャーナリストに対して「大規模かつ重要なイベント」に備えるように伝えている。この重要なイベントが6回目の核実験を行うという結果になれば、アメリカは黙っていることはできずシリアと同じくトマホークミサイルを平壌に打ち込む可能性は4月25日に向けて高まっている。しかし、映画「ザ・インタビュー」のように、金正恩へ不満を募らせている軍将校もいるかもしれない

4月11日に米トランプ大統領は、中国が北朝鮮へ有効な制裁を下せないのなら米国が単独でシリアの様に攻撃を行うと示唆するツイートを行っている。また、12日には、菅官房長官が朝鮮半島から日本人を非難させる用意があると記者会見を開いた様に、北朝鮮におけるXデー(第二次朝鮮戦争)が勃発する可能性が加速度的に高まりつつある。万が一、米朝戦争が起きるとするならその兆候はあるのか、日本のどこが危ないのか、どう対処すればいいのかは以下の記事でご紹介

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Xデーに突き進む北朝鮮内部からクーデターが今まで起きていない事は驚きである。これまで多くの脱北者が中国や韓国に亡命してきた事や北朝鮮の一般市民がいかに不遇で悲惨な扱いを受けてきたのかに焦点を当てて、実際の脱北者の声を拾いながら状況を考察していきたい。なお、緊迫する北朝鮮情勢の最新情報やこれまでの歩み等を下記の記事でご紹介

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画像:North Korean Defectors @koogle

Xデーへと突き進む北朝鮮の金正恩体制を存続させる悍ましい国内制度とは

脱北者が語る北朝鮮国内で産まれながらに背負う身分制度とは

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北朝鮮は、身分制度を国民に課している事は伏せているが、北朝鮮から脱北してくる人たちによると、産まれながら身分に縛られてビクビクしながら暮らす事が当たり前だという。まるでインドのカースト制度の様であるが、北朝鮮のものはもっとタチが悪い、おそらく身分という名の奴隷制度に近いものであろう。身分ピラミッドは3階層、51区分に分けられる

身分ピラミッドの頂点に君臨する「核心階層」
よく北朝鮮国内を映したビデオの舞台となる首都平壌に住んでいる人たちは、この核心階層に属している。他国からの援助金がきたらまず恩恵を受けるのがこの階層である、その後さらに搾り取られて下の階層に回されていく。この階層に所属できるのは、主に以下4分類の人たちである

朝鮮労働党員の家族、子孫
抗日戦争で活躍(戦死も含む)した軍人の遺族、子孫
朝鮮人民軍将校の家族や子孫
国内で高等教育を受けた知識人

身分ピラミッドの中間なのに監視付き「動揺階層」

いわゆる一般的な北朝鮮市民は、こちらの中間階層である動揺階層に属している。核心階層に比べて裕福な暮らしはできないが、最低限生きていく事はできる階層である。また、準監視対象者に指定されているため、多少目立った事をすれば監視員の数も増えていく。この階層に所属できるのは、主に以下5分類の人たちである

政党無所属の家族、子孫
中小規模の事業者
中国、日本からの帰還者
日本の植民地時代、外国留学をした知識人
経済事犯(横領、詐欺、強盗、窃盗の前科者)

身分ピラミッドの底辺、監視だけでなく奴隷的扱い「敵対階層」

こちらの階層に所属してしまうと、北朝鮮がクーデターで崩壊でもしない限り人として扱われる事はない。良くても差別的待遇、常時貧困、教育を受けられない等であり、悪ければ強制収容所送りが産まれながらに決まってしまう。この階層に割り当てられてしまうのは、主に以下7分類の人たちである

朝鮮労働党から除名処分を受けた人物
地主や裕福な農家、資本家
親日、親米主義者
宗教信仰者(キリスト教、仏教、天主教等)
労働党内で処刑・処断された人物の家族、親類
逮捕・投獄者家族
脱北者家屋、親類

身分制度から推察されるのは、金日成体制が開始された1945年8月15日以前の知識人階層や裕福な階層は全て敵対階層に追いやられているのに対して、逆に知識人ではなかった貧農に所属していた人たちがピラミッドの頂点に君臨しているのである

この不遜な待遇をみるとカンボジアで知識人の大量虐殺(200-300万人)を行ったポル・ポトの名前が頭をよぎる。つまり、金政権の存亡を脅かす可能性がある過去の知識人階層を粛清する事で、自分たちに敵対できる頭脳を持った人物を排除し続けていった政権であろう。この身分制度は、脱北者の証言に基づいて作られたものであるが、各方面からの情報を照らし合わせても、ある程度納得のいく身分制度の様に思えたのは気のせいではないかもしれない

引用元:三日月城通信

北朝鮮が中央政府の思い通りに政治を行う傍、下位の市民層へ食料を分け与える代わりにミサイル開発や軍事力増強を行ってきた同国。北朝鮮の戦闘力に関して、以下の記事にまとめているためご紹介したい

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脱北者が怯えてやまない北朝鮮の「連座制」とは

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北朝鮮には、「連座制」と言われる恐ろしい制度が存在する。「連座制」に問われた者は、たとえ罪を犯していない状態であっても奴隷工場と推察される「収容所送り」になる例が多い。上記の身分制度の敵対階層で挙げている様に、北朝鮮で罪を犯した(ほとんどが朝鮮労働党への犯行だが)と認定される人物がいれば本人だけでなく、家族や親類までとばっちりを受ける悪魔の負の連鎖が待ち受けている

韓国ソウルに本拠地を置く「北朝鮮人権記録保存所」は、脱北者1万3000人を調査し、北朝鮮内にある拘禁施設は480ヶ所に及ぶことを2011年4月26日に明らかにしている。「連座制」によって罪に問われた人物は、以下の施設のいずれかに送られるという

「拘留場」(210ヶ所)
「労働訓練隊」(210ヶ所)
「教化所」(23ヶ所)
「教養所」(5ヶ所)
「集結所」(27ヶ所)
「政治犯収容所」(6ヶ所)

「北朝鮮人権統合データベース 」の政治犯収容所拘禁事例によると、収容者(推定者を含む)、行方不明者を含んだ対象者でもっとも多い罪の根拠が連座制によるものだったという。北朝鮮の政治を操る中枢へ不満を少しでも持っている人物は容赦なく家族や親類まで犯罪者として扱う北朝鮮の狡猾非道な政策によって、内部からストライキやクーデターが起きないのであろう

生存率1%、一度入ったら2度と出ることができない強制収容所とは

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画像:Kaechon Concentration Camp No. 1(北朝鮮の強制収容所)@Google Earth

北朝鮮の強制収容所に入ると、脱獄・脱北でも成功させない限り、出た後に生き延びるのは困難と言われている。収容所と聞くと、ナチス時代のアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所でヒトラーが行っていたホロコースト(約600万人のユダヤ人大量虐殺)が思い浮かぶでしょう。まさに、北朝鮮は2000年代に未だ存在する現代版ホロコーストが行われている施設と言っても過言ではない

米国務省が2010年に発表した人権報告書によると、北朝鮮の収容所には15-20万人が収容されていると見られている。ここからは、実際に強制収容所に入った脱北者からの実体験を抜粋していきたいと思う

「北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)」の最終報告書(以下、国連報告書)に収められた証言の一部

発言者の母と子は収容所内の懲罰棟に強制連行され、赤子は犬の餌の器に入れられた

2011年5月4日、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが発表した政治犯収容所の実態

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画像:アムネスティ・インターナショナルが公開した北朝鮮の政治犯収容所の衛星写真@AFP

 日常的に公開処刑が行われ、空腹に耐えかねてネズミや動物の排泄物を食べて生き延びた。また、奴隷に近い状態での労働を強いられた上に、非人道的な拷問で屈辱的な扱いを受けていた

2014年1月28日、読売新聞の取材に応じた申東赫(シン・ドンヒョク)氏(北朝鮮の政治犯収容所で生まれ育ち、2005年に同国を脱出した)

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画像:北朝鮮!北朝鮮!@Sakura Jade House

私は、連座制のせいで親子三世代に渡って強制収容所生活を余儀なくされる運命を背負い約4万人を収容する政治犯収容所で生まれた。6歳から炭鉱などで強制労働を知られ、公開処刑や拷問を目にするのは当たり前の光景だった。22歳の時、収容者仲間の助けで脱獄・脱北に成功し、「自由や人権という言葉を初めて知った」。金正恩体制下で、北朝鮮の人権状況は悪化している

2012年2月28日、中央日報の取材に応じたシン・ドンヒョク氏(上記に同じ、北朝鮮の政治犯収容所で「計画管理」の「表彰結婚」によって生まれ、2006年に同国を脱出した)

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画像:政治犯収容所の出生者では初めて脱北に成功したシン氏(左)@中央日報

収容所では、遅刻もせず熱心に働き「生活総和(お互い監視させる自我批判の場)」に望んだ模範囚人の男女を金日成や金正日の誕生日に選び出し、5日間ほど同じ部屋に同居させて子供を産ませる制度を設けている。男女の相手は看守によって決められる。政治犯収容所10大原則に男女接触禁止があった為、「表彰結婚」はこれを許す唯一の窓口であり、私はそこで生まれた

14歳だった1996年には、母と兄が脱出を図ったという理由により、目の前で銃殺される姿を目にしている。収容所では、ポケットに麦を5粒隠して見つかった女児が朝から昼まで頭を殴られ血を流して死んでいった姿も見た。むちで打たれる恐怖、飢え、拷問の恐怖、死の恐怖を除いて、その他の感情がわからなかった為、韓国に来て今学んでいる

2013年6月21日Redditという国際的な意見交換をする掲示板で、北朝鮮から中国へ亡命した女性が語った

私は、2006年(当時17歳)に、父が罪に問われたことで「連座制」から強制労働収容所に送られ、母・妹を含め三人で中国に亡命したところ、3人の中国人男性が彼女たちを買い、彼らの妻になった

家族や親類が起こした問題の程度にもよるが、家族の一人が罪に問われると家族全員が強制労働収容所に送られるというリスクは非常に高いでしょう。北朝鮮では裕福な家庭に育った為、収容所に送られるまでは、自由がないとか制限が多いとか思ったことはなかった

 

2014年11月13日Redditで、北朝鮮の政治犯収容所から脱出したKang Chol-hwan氏が北朝鮮情勢について語っている。彼の家族は祖父が反逆罪で捕まった際、連座制によって収容所送りにされ10年囚人として過ごしていたという

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画像:Kang Chol-hwan氏@reddit

北朝鮮は10-20年の間、このシステム(連座制や強制収容所等)を維持できるとは思えない。最悪の記憶として残っているのは、脱獄しようとした2人の兵士に対して、囚人が投石を強制され、皮膚がちぎれ、24時間放置されている間にカラスに食べられたこと。収容所では蛇を美食とみなして食べていた

引き続き更新予定

参考URL:読売新聞,  AFP BB NEWS, reddit, reddit

 

北朝鮮の国内向けの恐怖政治、国外向けの瀬戸際外交も間も無く終焉をむかえるかもしれない、いやそろそろむかえて欲しい。そうなった場合、北朝鮮が今まで国ぐるみで行ってきたテロ事件(金正男暗殺事件等)の詳細が明るみに出るに違いない。金正恩がトランプ政権からの暗殺に怯えて、雲隠れし始めたというニュースが流れたらいよいよXデーが近づいてきた証拠になる、続報を待ちたいですね

第二次朝鮮戦争が本当に起きるのであるとすれば、どんな被害状況が想定されるのかに関しては以下の記事でまとめています

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