Bilijohnnys

元ウルトラマン隊員・IT社長のFreelance Life

エコシステム停滞・ベトナムが脱するべきStartupの悪循環

ベトナム経済は、2016年にHSBCGDP成長率を6.7%から6.3%に下方修正する等、多少の減少感は否めない状況ですが、成長率だけを見ると今後も外国直接投資が増していくのではないかと考えています。そんな中、今回焦点を当てたのはベトナムベンチャー企業のエコシステムが機能しているか否かという実態です。実際、ベトナムでもベトナムシリコンバレーを作ろうと政府が努力している場面も見受けられましたが、未だアジアの周辺各国にも及ばない状況なのは明らかな状況です。それでは現在のベトナムのエコシステムがどのような状況なのか少し推察してみました。

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1. ベトナムのStartupエコシステム

ハノイホーチミン市の2大都市にあるエンジニアリングチームとアウトソーシング先を考慮しベトナムの今後の成長を鑑みると、ベトナムはスタートアップ投資先として魅力的に映ります。しかし、過去10年間ベトナムで働いてきた人々は、ベトナムは以前から成長を続けてきたという事を認識しており、マクロ経済レベルでは成長率が非常に高く推移してきた国だと感じます。


外国投資家が最も熱狂した瞬間の一つは、ベトナムのエンジニアリングチームが作り上げたMisfit Wearablesが2015年にFossilによって2億6000万ドルで買収された時です。当時からベトナムはもっと魅力的な市場だと投資家には映っています。しかし、シリコンバレーとしてのベトナムはまだまだ魅力さに欠ける事はいうまでもありません。Startupのエコシステムを考えても、中国ほどのサイクルが働いているわけでもなく、人口規模もインドネシアほど多くはありません。


しかし、ベトナムには将来が明るい領域があります。ゲーム、メディア、コミュニケーションに重点を置いているVNG社は、ユニコーン評価に匹敵する企業価値と評価されています。現地の支払いとオンライン財布会社であるMomoは、スタンダードチャータードとゴールドマンサックスから前例のない2800万ドルを調達しました。グローバルレベルまたは地域レベルで競争できるこれらの企業はほんの一握りですが、これらの急成長スタートアップは必ずしも健全な生態系を示すものではなく、積極的な文化、技術的背景、ベトナム独自の関係などから見ると特異的だと言えます。

 


2. ベトナムのM&Aフロンティア
現在、ベトナムで最大の経済変化の1つは、国有企業の安定した民営化です。しかし、さらに大きなマクロトレンドが起こっており、伝統的なセクターでの不動産から小売への合併や買収が増加しています。歴史的に、技術部門は十分な統合を行ってはいません。つまり、ベトナムは中規模のプレーヤーでいっぱいですが、VNGのような大手プレーヤーはめったにいないでしょう。ベトナムのテクノロジー企業が伝統産業の例に従えばベトナムのハイテク企業によって業界構造の変革が起きる事は予想されます。



3. 国内外のエコシステム
ベトナムから一歩を踏み出し、最高のパフォーマンスを発揮する企業を見ると、注目を集めるのがうまい企業や創業者が最も優れた企業であることがわかります。これはベトナムのスタートアップエコシステムの秘密です。最高の新興企業は生態系の負担ではありません。彼らは孤立した出来事から生まれ、米国のPh.D.のグループが集まり、ベトナムに密接に関連した新しい技術を開発するとも予想されます。元のFacebookエンジニアがFacebookを離れ、自分の会社を立ち上げることに決める事があるかもしれません。またシンガポールで会ったエンジニアやデザイナーのグループが、アプリ会社を立ち上げることになるかもしれません。戦略的な考え方と財務的なセットを持つ見知らぬ人のペアがゲーム会社をつくることにもなるでしょう。

ここでのユニークな点は、ベトナムの成功した企業が生態系に参加していないことです。彼らは生態系に影響を及ぼさず、生態系は生態系に影響を与えません

 


4. エコシステム停滞の理由
一日の終わりには、現実主義のレンズでベトナムに近づくことが重要です。ベトナムでの進歩は、飛躍的なペースではなく、飛躍的な発展を遂げています。政府は、ホーチミン市からの新たな$ 45M(4000万ドル)の資金を投下、スタートアップのエコシステムの重要度を増し、大規模な会議から資金調達発表の数が以前より増えていますが、既存の大手企業はこの状況下を良い状況であると捉えていません。

上記が、ベトナムのStartupエコシステムをストップさせてしまっている一つの理由です。ベトナムで生産している大手企業は、未だバブルの中に存在し、時代に不相応と判断される企業でさえ生き残っています。

 

著者:三好真

高校時代の偏差値38のビリで元ジャニーズJr.、ナベプロにて俳優活動に従事。Startup起業の立上げ、慶應義塾大学を卒業後、米系コンサル(Deloitte ConsultingのStrategy部署)にてタイ駐在・USA/イスラエルとのスタートアップコミュニティ作りに関わる。ベトナム・タイとの輸出入ビジネスを行う傍ら、コンサルティング事業も行っています。