Bilijohnnys

元ウルトラマン隊員・IT社長のFreelance Life

やさしい経済教室「ベトナムマーケットの基礎知識」

ベトナムでビジネスを立ち上げたいと考えていますか?もしくは、ベトナム出張や駐在が決まってベトナムでビジネスをする予定があれば、事前に対象マーケットの基礎データを調べておくというのは必須のはずである。筆者は、ベトナムとは何故か縁が深く、弟はベトナムのホーチミンで働き、私はベトナムで輸出入関連のビジネスを営み、父も多少ベトナムに関わる仕事いる状況。今回は、ベトナムでビジネスする際に知っておきたい基礎中の基礎と言われるかもしれないベトナムの現状をシンプルに迫っていきたい

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ベトナムでビジネスを始める際に知っておきたい基礎情報

ベトナムの基礎情報

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画像:IMF - World Economic Outlook Database 2016

人口:9541万人(2017年時点@worldmeters)
首都:ハノイ
面積:32万9,241平方キロメートル
通貨:ベトナム語đồng(₫)
民族:キン族(越人)が約86%、他53の少数民族
政体:社会主義共和国
言語:ベトナム語
宗教:仏教、カトリック、他カオダイ教
GDP:US $ 215.9億(2017年予想@IMF)
国民性:親日的
主要産業:製造、サービス、農業、林業、漁業
新興産業:物流、医療、農薬
期待効果:成長と発展を目指す大きな市場

2000年代以降、ベトナム経済はダイナミック経済成長を遂げている。一人当たりGDPは2002年以来急激に上昇。ベトナムの成長は国際貿易と外資によるものである。工業生産、繊維、靴、エレクトロニクス、海産物の生産が急速に拡大している点は注目度が高い

ベトナムの経済は、2020年までに完全に先進工業国になるという目標に向かって急速な進展の最中である。Trading Economicsのデータを見ると、2012年から2016年までGDP成長率が急速に上昇しているが、2017年から多少安定していきそうだ。ベトナムはインフレーションが進みつつある為、訪問する際は外貨両替に注意したいところである。下記の記事で、経済都市・ホーチミンでの両替所をまとめている

ドン両替で絶対損したくない!ホーチミン市の両替所ベスト5

ベトナムは、APEC、ASEAN自由貿易地域、WTO、ASEAN-オーストラリア - ニュージーランドFTA(AANZFTA)を含む自由貿易協定のネットワークの拡大を通じて、世界経済統合の長期目標を達成することを約束している。また、太平洋横断パートナーシップ協定(TPP)と地域包括経済パートナーシップ(RCEP)交渉の締約国である為、今後の動きには注意がいる。ベトナムにおける最新の経済動向については、下記の記事にまとめている

2017年に変化するベトナムにおける最近の経済動向

ベトナムでのビジネス課題

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信頼できる現地のパートナーの獲得と徹底した市場調査は、新興市場のベトナムでビジネスを成功させる上で不可欠ですよね。

法律や規則の頻繁な変更を伴う法的枠組みの進化 - ベトナムの法律には多数の「灰色の領域」があります。このグレーゾーンにより、解釈、適用、遵守が法律通りにならないことがあります。規制、許可、法律を理解し、対処してくれるベトナム人パートナーを早期に見つけることが必要になりそうです。
※知人の起業家は、ベトナム人パートナーに逃げられたという話も聞くため、慎重に選ぶ必要はありそうです。

研究と計画を慎重に行う - 他の新興市場と同様に、社会主義からくる官僚主義は新興企業にとって苦しいものになるかもしれません。これはベトナムでのビジネスを検討する際に、対象の新興企業に投資をしている投資家にも影響を与えます。ベトナムで必要とする最も重要な許可の理解を得る必要がありそうです。
※参入先の場所によって、規則を遵守する方法を十分に理解していることを確認してください。

インフラはシンプルだが、迅速に近代化している - 主要都市ではないベトナムの地方では、インフラ設備がまだまだ整っていない。ベトナムで行いたいビジネスは、インフラ設備が整っているかどうかでスタートダッシュが大きく変わりそうだ、特にIT系企業は。都市(特にサイゴン)の中心部では、インフラも比較的近代的

ベトナム人との交渉時間には事前に気をつけて - ベトナム人と接するときは忍耐強くすることが重要。交渉にはしばらく時間がかかり、重要な決定はグループ協議を経なければならない。公式の書類準備や許認可の処理にも長い時間がかかる為、柔軟で忍耐強いスケジュールの組み方が必要になる
※これは日本企業と似ていますよね、アメリカ人がイライラしそうなのが目に浮かびますw

会議のエチケット - ベトナム人パートナーがあなたの意見に同意しないとき、彼らは黙っている可能性が高いです。これは、思ったことを率直に相手にぶつけることができない彼らの性格を表しています。実際にベトナム人とビジネスをしていて感じるのは、分かりやすいという点です。顔を見ればある程度相手の考えていることはわかるでしょう。

ベトナム人パートナーとの関係強化は重要 - 個人的なパートナーシップの強化は、ベトナムにおけるビジネスパートナーシップの成功にとって重要です。個人的なラインとビジネスラインの両方に基づいて強固な関係を構築するための時間を費やす必要があります。
※ベトナムでビジネスをしている知人は、関係強化のために、よくクライアントと飲みに行くということをして仕事につなげているようだ。日本でも営業職には多い関係構築法がベトナムでも通じるそうだ。ベトナム人パートナーを探す際に気をつけたいのは、相手が信頼でき、優秀な起業家タイプであるかどうかという点である。下記の記事に、ベトナム独自の習慣を鑑みながらまとめている

ベトナムで優秀な起業家を排出する為に必要な9つのこと

ベトナムの主要産業

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画像:World Bank, 2016, because of rounding, the sum of the percentages may be smaller/greater than 100%

ベトナムの人口は農村部から都市部へ急速に移行しており、農業の衰退や製造業やサービスの増加を特徴としています。

製造業 - 熟練労働力と低コストを活用することにより、ベトナムはアジアで最も大きく成功した製造拠点の一つに浮上しています。近年の成長により、ベトナムは、より成熟した近隣諸国の供給市場の安価な代替品として世界的に評価されています。

サービス - ベトナムのサービス部門は急速に成長しています。業界のサブセクターには、データBPO(Business Process Outsourcing)ITなどの銀行・金融保険観光オフショア・サービスなどがあります。有名大学卒業生(ハノイ工科大学等)のプールを基盤にして、ベトナムは、オフショアサービスのために世界でトップ10になる可能性があります。
※例えば、知人の中には、日本からオフショア開発拠点を作り規模を拡大しているエボラブルアジアやコウェルで働いている人物もおり、彼らにとってオフショア開発の要となるのはそのようなプール基盤です。

第一次産業農業林業漁業 - 農業はベトナムで最も重要な経済部門としても衰退しています。画像のように人口の半分を雇用していますが、製造業とサービス業のアウトプット価値は農業を上回っています。しかし、農業は加工産業の原材料の主要な供給源であり、輸出に大きく貢献しているは事実です。
※例えば、コーヒー豆の出荷量は、世界2位を誇っています。米の出荷量は、アジアでタイに次いで2位です。最近だと、タイのCP(チャロンポカポングループ、会長さんの孫と知り合いですがw)は、ベトナムでエビの養殖事業へ積極的な参入もしています。 

ベトナムの新興産業

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ベトナム政府は、急速な経済発展を追求するために、多くの主要産業を積極的に育成している

物流 - ベトナム政府は、2020年までに先進工業国になるという野心的な目標を掲げている。生産性向上貨物ロジスティクスを中心とした貿易競争力が多面的な取り組みに大きな役割を果たすと考えられている。これには、貨物旅程をより信頼できるものにすること、道路をより安全にし、大量の商業利用、港湾部門の効率化、バージ、トラック、倉庫、ゲートウェイの統合の強化などが含まれる

医療 - ベトナムの医療サービスへの支出は着実に増加している。ベトナムには1,000以上の病院があり、90%以上が国有というのは驚きだが、医療関係の利益の大半を外資系企業に奪われているのも驚きである

アグリフード - ベトナムの主な農産物産業は、2020年まで野心的な成長を目指す、シーフード、米、コーヒー、果物や野菜、肉など。例えば、ベトナムの肉産業は、特にコールドチェーンの分野で急速な近代化と拡大を遂げている(生産点から消費までの冷凍)。生肉と加工肉製品の輸入は、15万5,000トン以上が2020年までに予測されているというから量も半端ではない

ベトナムの輸出入産業

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ベトナムの主要輸出品目は、電話機、携帯電話およびコンポーネント、繊維および衣服、コンピュータ、電気製品およびスペアパーツ、履物

ベトナムの主要輸入品は、機械、設備、工具および器具、コンピュータ、電気製品、スペアパーツおよびコンポーネント、織物、電話、携帯電話およびコンポーネント 

ベトナムの規制情報

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現況において、ベトナムの規制環境内での作業は難しいかもしれないが、徐々に改善してきてはいるようだ。ベトナム政府は、上場企業や非上場企業の外国人投資制限を引き上げるなど、徐々に外国投資の制限を緩めている。法制度はまた、商業法令を国際規範と整合させるために大きく変化している点が大きい

世界貿易機関(WTO)の約束の履行は、中長期的により良い営業環境に徐々に貢献していると言われています。関税が削減され、投資制限が緩和され、以前より透明性と予測可能な商業的法制度が導入されている

ベトナムでは、大企業に対する優遇政策も秘密裏に行われていたり、若い消費者が新しいものをそこまで好まないという性質等から小さなベンチャー企業が育たないとも言われている。下記の記事に、ベトナムにおけるベンチャー企業を取り巻く環境に関してまとめている 

エコシステム停滞・ベトナムが脱するべきStartupの悪循環

ベトナムは堅調なFDI、若い層が集中する人口ピラミッド都市化による更なる経済発展、富裕層の増加等、今後伸びる可能性が非常に高い。東南アジアのタイを追いつけ追い越せとと行った状況なら、今のうちに資本投資・事業立ち上げを行っておきたいところである。下記に、ベトナムにおける重要な10個の経済指標をまとめている

ベトナムで起業・投資するのは今!10個の重要指標

 

書いている人:三好真
高校時代の偏差値38のビリで元ジャニーズJr.、ナベプロにて俳優活動をしていた者です。Startup起業、慶應義塾大学を卒業後、米系コンサル(Deloitte ConsultingのStrategy部署)にてタイ駐在・USA/イスラエルとのスタートアップコミュニティ作りに関わる。ベトナム・タイとの輸出入ビジネスを行う傍ら、コンサルティング事業も行っています。