Bilijohnnys

元ウルトラマン隊員・IT社長のFreelance Life

ベトナムで優秀な起業家を排出する為に必要な9つのこと

ベトナムのスタートアップコミュニティは危機に瀕している場面が見受けられます。新しい企業は規模の拡大に苦しんでおり、メンター不足、新興企業のための資金不足、投資家の不足、早期採用者の不足、経済の停滞などがです。しかし、2016年の11月に入り、ベトナムホーチミン市が発表した45m$(約50億円)のStartup支援ファンドが反響を呼ぶ等、スタートアップにとっての土壌も少しずつ整ってきたように感じます。政府の支援や経済状態を無視してもStartupは成長し続けることは可能です、例えばアップルやマイクロソフトのように景気後退期に設立される等、不況の中でフォーチュン500企業の半数以上が設立されました。以上を鑑みると、国の状態も重要ではありますが、それぞれのStartupの動き方が非常に重要になってきます。

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米国の実業家で全国ハンバーガーチェーンのマクドナルド創業者”レイ・クロック”は、不況の時こそ店舗拡大をするべきだと説いています。つまり、景気が悪い時こそ地価が下がっているチャンスであり、今後の成長に期待出来る場所であればデフレや不景気はマクドナルドにとっては経済的チャンスにもなり得るからです。ベトナムのスタートアップシーンでの議論は、すべての泣き言から離れて、地域社会を育むためにできることを積極的に議論する必要があります。投資を見つけるのを忘れる必要もありそうです(とにかく投資について不平を言うのはあまり意味がないかもしれません)。ベトナムのスタートアップシーンのすべての人にとって必須の9つのリストを作りました。スタートアップコミュニティがあなたのためにできることを尋ねたり、スタートアップコミュニティのためにできることを考えるのも重要です。

 

1. "あなたが得る前に与える"という考え方を持つ
ベトナムでは、私たちが苦しんでいる事の一つは、「ただ得る」という哲学です。その考え方として典型的なのは、面白い製品や
会社を見つけた時、人々は受身でその商品や会社を受け入れてしまう所があります。例えば、その会社経営、製品販売を次に進めていく時に付随した問題が起きる可能性があるから補助したいという考え方を持つのは大事です。強力なスタートアップコミュニティは、互いに助け合う人々の基盤上に構築されています。 Instagramの創業者Kevin Systromが、真夜中にQuoraの共同設立者のAdam D'Angeloを相談事があると言って呼び出したとき、アダムはすぐに彼らを助ける方法を提案し実行しました。これに対するアダムの報酬は何だったでしょうか?ときにはわからないこともあります。私たちが与えるとき、何らかの具体的な結果を期待すべきではないかもしれません。時には本当の報酬は歴史の一部であり、本当にクールなスタートアップの歴史の一部であることがあります。あなた自身の個人的な利益だけを追求するとStartup経営は難しいかもしれません。生きる最良の方法は、他人のためにどう会社を製品を開発・改良できるかという点に尽きると思います。


2. メンターを求め、いずれメンターになる
ベトナムは、
メンターの深刻な不足に苦しんでいるように見受けられます。ファウンダーズ・インスティテュートのようなプログラムは、魅力的な起業家を輩出するのに役立っており、コミュニティに貢献しています。しかし、積極的に若いスタートアップの経営者に会い、指導者を指導するだけのメンターは豊富ではありません。スタートアップコミュニティの著者、Brad Feldはこう言っています。「このような人たちは、自分のスタートアップコミュニティで長期的な見方を知らない。根本的にリーダーが何をするのかがわかっていない。彼らはメンタリングによって、誰もが広く深いレベルで利益を得ることを認識していません。メンターが多いコミュニティの利点は、メンターが新しいメンターを生み出すことです」。今日、あなたがメンタリングを始めると決めたら、あなたが指導を始める時の創始者になり、新しい指導者を次々に作り、エコシステムを回していく必要があるでしょう。次の指導者となる人達からも学ぶことができます。それがスタートアップコミュニティを有機的に成長させる方法です。

 

3. "NémĐá"という習慣を払拭しよう
ベトナムの人々は、 "némđá"という文字通り奇妙な習慣を持っています。それは、人々が堅実かつロジカルなフィードバックを相手に伝えず、ただ批判したいということです。つまり、ただ文句を言うだけです。これは建設的な議論を生むものではありません。これは現代のベトナム文化の一部ですが、この習慣によって成長するための過程を中断させてしまう可能性があります。例えば、新しいアプリを試したり、スタートアップに関するニュースを学んだり、新しいイベントに出くわしたりするだけではなく、アプリの改善の仕方を考え、起業家と改善するためにできることを共有するイベントの主催者にイベントの改善方法を伝えるのは効果的だと思います。残念なことに、ベトナムでは、最も一般的な人々の反応は、物静かに相手の話を聞いているか、またはNemđá状態に陥っているかです。ここに物事をどのように改善し、誰とでもその考えを共有する感覚を追加できるとベトナムのStartupコミュニティはさらに盛り上がるのではと考えます。


4. 包括的で効率的なStartupコミュニティの拡大を
外部の人、外国人、新しい若い起業家のために、新しいスタートアップコミュニティへの参加障壁を下げる努力が必要です。世界中のあらゆるスタートアップコミュニティには、スタートアップコミュニティのゲートキーパーがいます。優れたゲートキーパーはこれを知っており、コミュニティのすべてのリーダーとネットワークを形成し、適切な人に新しい人を紹介します。これはもっと頻繁に起こる必要があります。ベトナムにはさらに多くのゲートキーパーがいなければならず、地域内に入るのがより簡単になれるようにならなければ新しい化学反応は起きにくいと感じます。シンガポールや欧州の投資家は、同じことを何度も繰り返し言っているのを聞きます。ベトナムは「言語やコミュニティーの仕組みのために浸透しにくい」ということです、これは日本のStartupコミュニティと少し似ています。これを克服する唯一の方法は包括的にすることです。それは、より親しみやすく、他の地元のベトナム人を招くだけでなく、外国人を招待することを意味しています。


5. あなたの同僚と同僚をつなぐ
コミュニティを成長させる唯一の方法は、人々をお互いに紹介し、より多くのつながりを作り、ネットワーク全体のすべての関係を築くことです。コミュニティは誰もが同時に共有する急流のようなものです。そこで共感できれば、電子メールを開き、お互いに会うべきだと思う2人の人を考え、それらを紹介してください。いつやるの?いまでしょという勢いで。。接続する人がいない場合は、あなたのお気に入りのスタートアップのリストを見て、すぐにメールして一緒にコーヒーを飲むだけでもいいかもしれません。例えば、コーヒーミーティング等を使って、同じ嗜好の人達だけでなく他の人々との交流が新たなコミュニティ創造に役立つはずです。あなたの周りの仲間の創業者、起業家、技術者との個人的な関係を築くことは、より将来につながるコミュニティ作りに寄与すると強く感じます。

 

6. 非ゼロサムゲームをプレイする

これは素晴らしいコミュニティを構築するための基礎の一つです。 「1人の男が勝ちたいと思ったら、もう1人は負けなければならない」という考えを止めて、互いを理解するのに努力します。私たちの中には互いに競争している人もいますが、私たちは共にコミュニティとして一緒になっていることを認識する必要があります。コミュニティは個々のスタートアップにとって扉のような存在です。

 

7. 長期的に考える
これは、
この記事全体を通して言えるテーマです。あなたの周りのスタートアップとスタートアップコミュニティを俯瞰してみた時に、長期的な成功に捧げられている人はいますか? 10年から20年間長期的に成功し続けられるための戦略を考えている人々だけが、本当に地域社会のリーダーになるような気がします。新しい世代のために、コミュニティを構築するのには数年かかり、数年後には条件が大幅に変わるため、起業家は常に変化に対して対応し続ける必要があるのは言うまでもありません。


8. 隠れるのを止める
ベトナムのスタートアップコミュニティが抱えるリーダーの問題は、彼らが隠れて活動している事です。これは誰にも役立たず、また臆病なリーダーとして映ってしまいます。Steve Jobsは、年をとるにつれて上記の考え方を認識したと言われています。最初は、ラリー・ペイジや若い起業家とは会いたくなかったが、脚光を浴びて隠れることは誰にも役に立たないと感じ始めました。彼は、Hewlett Packardが10代の時に彼に手を差し伸べた事を思い出し、起業家としての成長にとって基本的なことであると実感していくようになります。誰しも芸能人のスキャンダルは耳にしたことがあると思います、脚光を浴びすぎると外に出て行く気や下の世代を育てるという気が薄れる時があると実感できるかと思います。この感覚と少し似ているのが上場・売却して成功した起業家であり、彼らが経験の浅い起業家を支援するのがエコシステムを働かせるのに非常に重要なのは言うまでもなさそうです。


9. スタートアップコミュニティの外部に接続する
ベトナムの新興企業が直面している問題の1つは、既存の大企業や中小企業が新興企業の参入をあまり受け入れていないという点にあります。また、消費者が既存の商品から新しい商品に変えるスイッチングコストが高いという点もあり、新商品の参入障壁が市場全体として高いのが根元にありそうです。ここでStartupコミュニティのさらなる復興に寄与するのが、新興企業に対して良い印象を持つ人達を増やし、新商品に対する評価を良い方向に持って行くという国民感情です。

 

著者:三好真

高校時代の偏差値38のビリで元ジャニーズJr.、ナベプロにて俳優活動に従事。Startup起業の立上げ、慶應義塾大学を卒業後、米系コンサル(Deloitte ConsultingのStrategy部署)にてタイ駐在・USA/イスラエルとのスタートアップコミュニティ作りに関わる。ベトナム・タイとの輸出入ビジネスを行う傍ら、コンサルティング事業も行っています。